『正しい経営よりたのしい経営〜その2〜』
今日は、昨日の続きです。
私が考える社長の使命とは、
楽しい”日々を送ることができる組織にすること
これに尽きると思っています。
昨日の例に出した、ある宿を事例にお伝えします。
〜その日に、そのお方が泊めてもらった部屋は、2食付で2万円を超えるという、大変高い部屋でした。
しかし、ポットにお湯は沸いていますが、冷水は置いてありません。
もし、氷水がポットに入っていたら、どうでしょうか。
汗をかいて帰ってきたときに、どんなに嬉しいでしょう。
さらにそのお水を、例えば、この宿から2、3㎞の所にある名水百選のような湧水があったとします。(聞いてみたところ、あるのだそうです!)
その湧水を汲んで「このお水は名水百選の○○の水なので、とてもおいしいです。ポリタンクに用意しておきましたので、よろしければお帰りにお持ちください。」と紙に書いておきます。
もちろん、販売することもできます。
また、テレビには空きチャンネルが半分ぐらいあるのですが、この空いたチャンネルを利用してみるのも良いでしょう。
例えば、この宿から1、2㎞の所にある渓谷の四季のビデオを流したり、別のチャンネルでは、50〜60km離れた桜の名所を1時間ほどのビデオにまとめて放送します。
このように、5、6カ所の観光ビデオを全部の空きチャンネルに流し、「このビデオは売店でお求めいただけます。1本千円です。」と案内を入れておきます。
千円では、とても儲からないと思います。
とりあえず、赤字にならなければ原価でも良い考え方で売っていたら、お客さんは、喜ぶのではないでしょうか。
つまり、経営者とは、
・どのように正しく経営するか
・どのように利益を確保するか
・いかに売上を上げるか
と考えているうちは、多分、一番、楽しい部分が見えてこないのです。
楽しい経営とは、“どうしたら、来たお客さんに喜んでもらえるかを考えることです。
「この一番楽しい部分を放棄するのは、もったいないの一語に尽きます!」とそのお方は、その宿の経営者に申し上げたそうです。
すると、その宿の経営者の方は、みるみる目を輝かせてこう言いました。
「この宿の経営を親から任されて以来、そんなことを考えたことは一度もありませんでした。常に、コストや売上げの問題を考えてきました。経営が楽しいと思ったことは、一度もありません。しかし、今のお話を聞いて、ものすごく気持ちが楽になり、楽しくなりました。そんな楽しいことを経営者としてずっと放棄し、自分で考えなかったということに、大変な悔しさを感じました。逆に、このことを知って、これから一番楽しい部分を一生懸命にやっていこうと思います。」
昨日の話からのまとめになりますが、正しい経営を考えているうちは、閉ざされた状況から抜け出すことはなかなかできません。
社長は、自分自身とスタッフがお客様に楽しみを提供することで、楽しい日々を送ることができる組織にすることが、一番先に取り組むことです。
【小林正観著;『正しい人から楽しい人へ』より引用】